「マーケティング=マーケティングリサーチ」と勘違いなさっていらっしゃる方も多いのですが、マーケティングリサーチとはマーケティングの一環として行われる、いわゆる市場調査のことです。
マーケティングリサーチは、大きく次のような種類や手法に分類できます。
・定量調査…消費者や見込顧客に対してアンケートやインタビューを行い、ダイレクトに意見を求める
・定性調査…一定の属性が共通するグループに対してグループインタビューを行って個別のインタビューでは直接引き出せない本音や本人も意識していなかった深い認識を引き出したり、デプスインタビュー(直接的な質問以外にもさまざまな話を聞いて深層心理を引き出す手法)を用いたりします。評価グリッド法®※などもこの定性調査に分類できるでしょう。
・観察調査…一定の状況下における観察対象者の行動を観察して、なぜそのような行動をとるのか、あるいはとらないのかを考察します。
・覆面調査…第三者が消費者として何かのサービスを実際に利用し、その情報を提供することでサービスの実態や品質をチェックするという調査法。ミシュランガイドの匿名調査員による評価の格付けなどが代表的な例でしょう。
※評価グリッド法(R)…関東学院大学人間環境学部の讃井純一郎教授が開発し、登録商標を持つリサーチ法です。これは調査対象者に対してパーソナルインタビューを行いながら対象者の固有の「物事を理解・判断する階層的な仕組み」を探ることで特定の商品やブランドに対してわかりやすい階層構造で評価構造を表現するというものです。類似する手法としてレパートリーグリッド法なども挙げられます。
マーケティングリサーチを行う目的は、顧客の真のニーズやウォンツを知ることでより顧客に適切な商品やサービスを提供できるよう改革・改善を行うためです。企業側は「お客様が欲しがるのはこのような機能やサービスだろう」という予測に基づいてブランディングや商品開発などを行いますが、その予測がどの程度正しかったのかを検証するにはマーケティングリサーチが必要となります。
しかし、マーケティングリサーチはただ行えばよいというものではありません。適切なターゲットに対し、適切な手法を選択することではじめて意味のある情報を得ることができます。
また、リサーチによって得られた情報をどう分析し、どのような結論を得るかについても一定のノウハウが必要となります。たとえばやみくもにアンケート調査を行い、その解答を分析もせずそのまま真に受けて商品開発や品質改善などを行うと、かえって顧客満足度を下げる結果につながるおそれもあります。
したがって、マーケティングリサーチを行う際は、マーケティングに関してのノウハウを持つ専門家の力を借りるようにしたほうがよいのです。