POP広告とは、「Point of purchase advertising=消費者が商品を購買する場で行われる広告」のことです。一般的には店頭・店内の陳列棚などに展示される販促物がPOP広告に該当します。POP広告はお店や売り場に活気を与えて購買意欲を高め、お客様に商品を手に取っていただき、購入するかどうかの最終判断をする際に後押しをするなどの役割を持っています。
一方消費者にとってPOP広告は「メーカーからの一方的な押し付けではなく、お店や店員個人もこの商品をお勧めしているサイン」と受け止められやすく、それだけに商品の魅力やメリットが客観的な視点から説明されている必要があります。
POPには大きく「アウトショップ」「インショップ」「商品まわり」「店内装飾」に分類することができます。
アウトショップ用のPOP広告は、お店の前を通りかかった人を店内に誘導するためのものです。店内でプロモーションイベントやセールを行っている際はそれを大々的に告知し、「○○新入荷!」など、店内の最新ニュースなどの情報やお店の雰囲気などを訴求します。
インショップ用のPOP広告には店内の雰囲気を盛り上げ、お客様にこのお店を好きになっていただき、購買意欲をそそるような演出効果が求められます。アウトショップPOPで訴求したイベントや新製品・目玉商品の陳列場所までお客様をスムーズに誘導するといった「お客様を戸惑わせない」ための配慮も必要です。
商品まわりのPOPは、特定の商品をお客様にダイレクトにプッシュする効果が重要です。商品の良さをアピールするだけでなく、お客様がそれを買うかどうか判断するために必要な情報をなるべく詳細に提示することが有効です。どのような情報が必要かは商品によりけりですが、たとえばパソコンやデジタル商品であれば購入者がもっとも気にするのは詳細なスペックです。お客様が実際にどのようなスペックに留意して商品を選択するのかをマーケティングリサーチしておき、それをPOPに反映するなどの工夫が求められるでしょう。「そんな細かい数値をいちいち書き出して広告効果があるのか?」と不審に思えますが、そういう情報を必要とする人にとってはいちいちカタログを参照しなくても興味のある数値情報をPOPで一気に得ることができ、その商品に対する関心が一段と高まる効果があります。
一方、書店の成功事例としては、その本を実際に読んだ店員やお客様の「どんな感銘を受けたか、どう感じたか、どんな人にお勧めだと思うか」の声をそのままPOPにすることによってその本の売上が大幅に伸びたという例があります。(この手法は現在多くの書店で導入されています)
店内装飾とは、直接商品広告とは関係なく売り場の雰囲気を盛り上げるための装飾です。たとえばクリスマスシーズンになると店内にツリーやキャンドル、サンタクロースなどの店内装飾を施すお店が多いですが、これは雰囲気を盛り上げることによってクリスマス関連商品の売上増に間接的に貢献するのを期待してのことです。またコンビニなどでもスタッフがサンタの帽子やトナカイの角などのコスプレをする店が増えていますが、これも広い意味での室内装飾と言えるでしょう。
POP広告は「メーカーではなくお店が主導する広告」であることを強調するために、スタッフの手作りによるものも多く見られます。たとえば鮮魚店の値札などはハンドラベラーよりも手書きの方がいかにも魚の鮮度が良さそうに感じられます。いちがいに手作りPOPだけが良いとは断定できませんが、臨場感、リアルタイム感を演出するためにはある程度の手作り感があった方が有効でしょう。
ただしPOP広告が多くなりすぎると、お客様に店内が雑然と散らかった印象を与えてしまいかねません。「適度な量、適度な手作り感、適度な統一性」が重要なのですが、その「適度」とはどのくらいの程度なのか、広告ノウハウのない方にはなかなか判断が難しいようです。